ストーリーと数字でみる2014年「歴史モノ」市場のトレンド
     

各タイトルの特徴

ここでいったん、ここまででにみてきた6タイトルそれぞれの特色を整理して比較してみましょう。

「信長の野望」シリーズ、「三国志」シリーズ・・・シリーズ自体の長い歴史、じっくり考える要素、比較的実際の歴史に忠実、人物中心、重厚感のあるドラマのような音楽や絵、高めの価格帯、パブリッシャー自身が運営するネット販売、PCを中心に様々なプラットホームで展開

「無双」シリーズ・・・爽快感、反射神経と戦略の組み合わせたゲーム性、音や光など刺激的な効果を用いた演出、PCを中心に様々なプラットホームで展開、日本の戦国時代と三国志の世界が混ざり合う世界観、購入しやすい価格

「戦国BASARA」シリーズ爽快感、映像重視、簡単な操作、歴史に題材を取りながらも自由なストーリー、アニメなど他のメディアとの連携、家庭用ゲーム機中心

エンペラー:中華帝国の隆盛・・・中国が舞台、「建設」を中心、PC向け

「トータルウォー:ショーグン」シリーズ・・・戦争場面中心、物理演算、リアリティ重視、専用プラットホームによる販売、全世界展開

戦国(SENGOKU)・・・時代考証、社会システム重視、オンライン対戦、政治重視、データ重視、PC のみ

このように、一口に歴史ゲームといっても、それぞれの作品は様々に異なった特徴を持っています。
上で挙げた特徴の中には、ゲームの内容そのものに関するものもあれば、価格や販売方法に関するものもあります。

たとえばPCゲームを購入する層と家庭用ゲーム機を購入する層、戦略ゲームを購入する層とアクションゲームを購入する層は異なっていて、それぞれの作品はこうした特徴の組み合わせによって購入層を決定します。そしてこれらの作品が一定のユーザー数を維持しながら版を重ねているということは裏を返せば、住み分けが成り立っているということです。

一方で、「会社」として継続していくためには、新しいユーザーを獲得してゆく必要が生じてきます。また流れの速い業界の中で既存ユーザーの関心をつなぎとめていくためにも工夫が必要です。

このため、各社はこれまでに扱ったことのないジャンルのゲームや、コンピュータの技術の発展によって新たに生まれたカテゴリーに進出する必要が生じます。この際に、自社がこれまで扱ってきた題材と組み合わせることで自分の会社のイメージを守りながら、一定の信頼感を得ることができます。

たとえば最初の「三国無双」は「三国志」+「対戦格闘」ですし、「決戦」は「戦国時代」+「リアルタイムストラテジー」です。コーエーテクモは90年代までに培った歴史ゲームメーカーとしてのブランド力を生かしながら、段階的に顧客の層を広げていく戦略を取ってきた訳です。

他の会社がすでに出している製品と似たものを製作することは、あらかじめユーザー層を想定することができ反応を予想することができるという点では有利に働くこともあります。一方で他社の製品と比較される状況から、どうやって自分の方を選んでもらうか、という観点からは、他社のものと「違い」を明らかにしていかなくてはいけません。
「三国無双」はいわばカプコンの「ストリートファイターⅡ」のヒットに便乗する形を取ったことになりますが、すぐにその形態からオリジナルなものに移行しました。すると今度はカプコンがその形態を模倣して「戦国BASARA」を製作します。「戦国」の開発者達は発売前から「トータルウォー:ショーグン」との違いをファンに説明する必要がありました。