ストーリーと数字でみる2014年「歴史モノ」市場のトレンド

     

はじめに

本稿はゲームに関するドキュメントです。世界の「ゲーム」市場は1980年代のビデオゲームの普及以来、巨大化し、2013年の市場規模は推定約7兆6000億円と言われており、なお拡大傾向にあります。(http://www.afpbb.com/articles/-/3004856
一方でゲームのチャネル、プラットフォーム、製品またはサービスとしての有り様は複雑化・多様化しており、「ゲーム」という言葉で想起されるイメージは人によって全くまちまちで、容易に語りきれるものではありません。書籍、映画といった娯楽産業と比較して最も若いビデオゲームの市場は、それだけに流れの速いジャンルといえるでしょう。

そこで今回、主題にする範囲は、「歴史」に関するテーマを扱うゲームです。自国や世界の歴史を主題にするゲームは世界のあちこちで作られています。日本においても、大手パブリッシャーから社員数名の小規模企業に至るまで、こうしたゲームの製作販売に関わり、毎年数十という作品やサービスがリリースされています。その代表的なものを中心に置くことで、複雑なゲームの世界の現状と展望を少しずつ探っていこうと思います。

発表タイトルはジェイン・マクゴニガル「幸せな未来は「ゲーム」が創る」(原題:Reality is broken)の邦題から部分的に借用しました。昨年発売されたこの本は、ゲームと社会の関係、ゲームの社会的意義について非常にポジティブに考察したユニークな本です。こうしたのは邦題の語感が素晴らしいと思っていたためで、実は本日の内容はあまり関係有りませんが、この本については少しだけ紹介します。